こんにちは。
Edu Support Office　川上淳子です。

今日の働き方ポケットノートは、「パワハラ防止指針案、どういうことなのか？」。
＊　＊　＊　＊　＊

2019年、職場でのパワーハラスメントを解消する国の動きが生まれました。大きな一歩を踏み出したと感じていました。

パワハラを
➀優越的な関係を背景にした言動で、
➁業務上必要な範囲を超えたもので、
➂労働者の就業環境が害されること

と定義しています。すべてを満たすとパワハラであり、企業に防止措置を義務づけています。パワハラを「行ってはならない」と明記する一方、罰則を伴う禁止規定は見送られました。

成立日時、法律名、対象については下記のとおり。
2019年 5月29日：改正労働施策総合推進法成立
2020年 4月 1日：職場でのパワーハラスメント（パワハラ）防止策：大企業に義務付け
2022年春：職場でのパワーハラスメント（パワハラ）防止策：中小企業に義務付け

規模の大小にかかわらず、職場でのパワハラを防止する方向へ順調に進むかと思われる中、水を差すような素案が厚生労働省から労働政策審議会の分科会に示されたという、10月22日の報道に驚きました。段階的に大企業から中小企業へと実施していく道筋があったのに、パワハラ防止指針案とはどういうことなのでしょうか？

さらに、以下の内容を見て、びっくりしました。朝日新聞20191022パワハラか否か判断例

✖けがをしかねない物を投げつける
〇謝って物をぶつけてしまいけがをさせる

✖能力を否定し、罵倒する内容の電子メールなどを当該相手を含む複数の労働者に送信
〇業務内容や性質などに照らして重大な問題行動を行った労働者に強く注意

✖意に沿わない労働者を長期間、別室に隔離したり自宅研修させたりする
〇新規採用者を育成するために短期間、集中的に固執で研修などの教育を実施

✖新卒採用者に到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったら厳しく叱責
〇労働者を育成するために現状より少し高いレベルの業務を任せる

✖と〇の違いがわかりません。1つ目の物を投げることについては、小学校の子どもがけんかの言い訳にしそうな内容です。謝って投げたのであれば、けがをしていてもセーフ。。

法律の整備が会社の現場でどう実践されていくのか、何がアウトで何がセーフなのかの線引きをする難しい問題を現場に一任されるのでしょうか。

参議院の付帯決議が「労働者の主観」にも配慮するよう求めていたことが踏まえられてはいません。とても気になります。

「これはね、パワハラには当たらないから。」

そう言われたら、暴言も嫌がらせも、モノが飛んできてけがをしても、指導として受け入れるしかないのでしょうか。

これから日本が世界に誇れるパワハラ防止策を実践していくのか、見届けていきたいです。

働く期間が延びていく中、誰もが自分の能力を発揮し、穏やかな心持ちで仕事をしていくことが職場の生産性向上に資すると思うのですが‥‥。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

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一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
アンガーマネジメントコンサルタント™
国立大学法人宮城教育大学教育学部非常勤講師
元宮城県公立小学校教員
Edu Support Office
代表　川上淳子

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