2019.10.04働き方ポケットノート
パワハラを生まない上司のスキル~言語化の3つの視点~
目次
上司のスキルとして高めたい言語能力
組織の中で部下をもつ立場になれば、部下に対して業務上必要なフィードバック、指導を行います。
しかし、上司としての指導がパワハラと言われ、指導のつもりで言った一言が部下の命にかかわる事態を引き起こす事例が後を絶ちません。その影響か、パワハラを恐れる余り、上司が部下を上手に叱れないという事態も生じています。
パワハラを生まずに、部下を適切に指導できる方法がないものでしょうか。
一つの方法として、言葉に気をつけることが挙げられます。上司のスキルとして高めたいのが言語能力。言葉は両刃の剣、使い方一つで人を育てることも、潰すこともできる私たち人間に備わった力です。
Action(行動)‥‥事実で指摘する
Impact(影響)‥‥相手には見えていない影響を伝える
Development(発展・改善)‥‥プラスの影響は連続の工夫、マイナスの影響には改善の工夫を一緒に考える
「AID」、この3つをキーワードにパワハラを生まない上司のスキルについて具体的に考えていきます。
大串亜由美著 【第3回 こんな場合のコミュニケーション‐「フィードバック」】を参考にし、構成しています。
↓ ↓ ↓
「AID」、上司のスキル向上の3つの視点
1.Action(行動)
部下がプロジェクトの報告書提出の期限を守れなかったを例に考えてみます。
「社会人としてどうなんだ」
「期限を守るのは当たり前だろ」
「だから前から言おう言おうと思って我慢していたけど、やっぱり言っておくべきだった」
「だらしないんだよ」
「会社の信用を落とす気か」
このような言葉が部下の人格を否定していると理解したいものです。能力が低いと決めつけたり、過去を持ち出したり、蔑む言葉は相手を傷つけていまいます。しかも、延々としゃべり続けたところで改善へとつながることもありません。
「提出予定日に報告書を出さなかった」、これが部下の行動です。
まず、そのことをフィードバックします。
実は、もう一つ、締切日前に上司の行動も必要と考えています。
部下の行動を予想し、事前にチェックし、何度か進捗報告をさせておくことが必要です。大きなプロジェクトであれば会社の命運を分ける事態、部下ができなかったのではなく、できるように導くのが優れた上司と言えます。
2.Impact(影響)
上司は一つの業務が会社や組織にとってどのような影響があるかを知らせる重要な役割があります。
部下は年齢が若く、人生経験も少ない、社会人としての経験も少ない、社内の状況についての理解も乏しいものです。
上司に指示されたことをやり遂げるだけで精一杯。自分がしていること、あるいは、していなかったことの目に見えない影響にまで思いが及ぶことがありません。
これも、一つ目のActionと同様に、事実だけについてふれることを忘れずに言葉にしていきましょう。
「作業の時系列が明確でないと、取引先からの信頼を得られないのです」
「トラブルを予想しておかないと、余裕をもって作業に取りかかれない事態を生みます」
「一人当たりの仕事量に差が大きいと残業になり、不要な出費に繋がります」
そこに、「気が利かないよね」、「言われなくてもできて一人前だ」、「〇〇君の方が優秀だよ」という人格を否定する言葉は不要です。
3.Development(発展・改善)
起きてしまったことに腹を立てても何も生まれません。イライラしていると心臓がどきどきして、呼吸が浅くなり、体が悲鳴を上げてしまいます。上司の一言が部下の心身に及ぼす影響はいう間でもなく、さらに深刻です。相手を責める言葉は職場から一掃したいものです。
上司のスキルとして、3つ目の発展・改善は欠かすことができません。
「会社の生産性を上げるためにできることは何か」
「どのようにすれば取引先の信頼を得られるのか」
「売り上げを上げるための工夫はもっとないのか」
こうした提案が上司から出され、上司や部下の垣根を越えて協議ができているかが会社や組織のバロメーターです。
長時間会議をした後、上司の鶴の一声で決まるという経験を重ねると、士気は下がります。
「自分の意見が活かされた」
「解決のヒントを提案できた」
「会議している間にアイディアが浮かんできて楽しかった」
こんな小さな成功が組織を活性化させていきます。そこにパワハラが生まれることはありません。
まとめ
「AID」の3つをキーワードにパワハラを生まない上司のスキルについて考えてきました。
言葉を通して考え、言葉によって交流しているからこそ、どのような言葉を使うかによって職場の環境、士気が大きく変わります。
Action(行動)‥‥事実で指摘する
Impact(影響)‥‥相手には見えていない影響を伝える
Development(発展・改善)‥‥プラスの影響は連続の工夫、マイナスの影響には改善の工夫を一緒に考える
それぞれの職場で、まず、上司であるあなたがこの「AID」を意識して部下に言葉をかけてみましょう。
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