目次

• ○  「怒りとは何か」がふっとわかった瞬間
• ○  自分の考えが自分の怒りを生み出す
• ○  変えられる「自分と未来」に対して努力すればハッピーに！
• ○  あのとき、お弁当シート毎、ひとりぼっちの子のところへ動いていた

「怒りとは何か」がふっとわかった瞬間

大学での講義を終えての帰り、駅の券売機前での出来事。

お母さんと小学生の兄弟が二人。
左手にいた兄の怒った顔に目が止まり、右手にいた弟を見ると券売機前を行ったり来たり。。ちょっと邪魔になりそうですが弟も私が近づいているのがわかり、右側によけていました。
それでも、兄の方は怒るのを止めず、苛立っていました。

兄は自分が立っていた場所から一歩も動きません。
そして、怒った表情も変えません。
「やめろって」を繰り返すばかり。

怒っているとき、自分は動かないんだ。何一つ自分を変えようとしないんだ。

「怒りって何か」、ふっとわかった瞬間でした。

自分の考えが自分の怒りを生み出す

兄にも言い分はあります。

兄の自分が注意しているのだから、弟は言うことを聞くべき。
切符を買おうとしているお客さんの邪魔になる行動はすべきではない。
他のお客さんにぶつかると危ないから、右往左往すべきではない。
自分は兄だから、弟を指導すべき。

自分の考えを一つも変えていない理由は、自分の「べき」は本人にとって「全部正解」だからです。

そして、これが自分を怒らせる本当の正体です。

兄の「べき」が裏切られた瞬間、怒っていたのです。そして、べきはいくつもあり、弟も行ったり来たりの行動を止めないため、怒り続けていたのでした。

自分を怒らせているのが自分、自分の考えが自分の怒りを生み出しているのです。

変えられる「自分と未来」に対して努力すればハッピーに！

怒り続けていた兄はその間、ずっと穏やかではありませんでした。ハッピーの反対側。
弟に対峙していたお兄ちゃんはどうすればハッピーになれたのでしょうか。

まず、自分が動いて場所を変えることができます。
左側にいたので私の背中側を通って右側に回っていくと弟に近づけます。

そして、近くに行くと手を取ってあげることもできます。
また、「お客さんの邪魔になるから止めなよ」と言うこともできます。
おもしろいことを言って笑わせたり、券売機そのものに興味を持たせたりすることもできます。

こんなふうに自分が怒っている状況を変えられる方法はいつもあるのです。

アンガーマネジメントでは「他人と過去は変えられない」、「変えられるのは自分と未来」と考えています。

変えられないことに腹を立てて鬼の形相のままで過ごすのではなく、自分が動いて状況を変えていくことができます。

あのとき、お弁当シート毎、ひとりぼっちの子のところへ動いていた

この出来事に出会ったとき、かれこれ二十数年前の校外学習のことがよみがえってきました。

見学先で昼食をとろうとすると、一人ぽつんとしている男の子。声をかけても黙り込み、周囲の子どもたちに聞いても状況が掴めませんでした。手招きしても動きません。

せっかく見学先に来たのだから、青空の下、楽しく過ごさせたい！
なにしろ、校外学習は特別の日ですから。

それで私のそばにいた数人の子どもたちとお弁当シート毎、ひとりぼっちの子のところへ動きました。友達とのちょっとしたトラブルがあったことは後でわかりました。

自分が動かずにいたら、「こちらに来ない子をだめな子」とか、「迷惑をかけて大変」とか、そんなふうに考えてしまったことでしょう。

でも、その子はずっとだんまりを決めていたものの、そばに行けて、なんだかほっとした感覚を感じていました。

そのときの感覚がまるで昨日のことのように思い出され、「怒りをマネジメントするって、こんな感覚なのだ」と考えることができました。

自分が動くことで変えられる未来がある！

あの時の穏やかな感覚を忘れずに、アンガーマネジメントのメソッドを伝えてまいります。

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
アンガーマネジメントコンサルタント™
Edu Support Office 代表　川上淳子