2020.12.28じゅんぶろ・ほのぼのとーく・働き方ポケットノート・子育てポケットノート
『「嫌いっ!」の運用』~脳科学者中野信子氏新作~
目次
- ○ 小学館新書3部作~書名の戦略~
- ○ 中野氏の願い
- ○ 「嫌い」はアラート
- ○ 「嫌いっ!」の運用
- ○ アドバイスの実践を!
小学館新書3部作~書名の戦略~
2020年12月1日、脳科学者中野信子氏が小学館から新作を刊行されました。
『「嫌いっ!」の運用』は、
『ヒトは「いじめ」をやめられない』
『キレる!』
に続く小学館新書3部作(勝手に名付けています)。
いじめが増加する中、「ヒトはいじめをやめられない」、
キレる老人、若者、子どもがあふれる中、「キレる!」、
コロナ禍、SNS上にあふれる「嫌い!」の感情に「運用」、
こう説いているのですから、読者の怒りを買ったり、手に取ることをためらう人が増えたりしそうです。
しかし、敢えての書名。
違和感や反発心を生むことこそが読者を著書にいざなう戦略なのではないかと思えるほどです。。
中野氏の願い
では、なぜこうした挑発的な表現を用いるのでしょうか。
そこには脳のしくみも性質も知り尽くした脳科学者が壮大な仕掛けをしていると考えています。
「いじめ」や「キレる」「嫌い」という普段悩まされている事柄や感情には、私たちの理解を超える真の意味や役割があることを伝えたいという中野氏の願いを読み取ることができます。
そして、「嫌いの感情」に対して深い考えもなく、漫然とネガティブな使い方を続けている私たちへ警鐘を鳴らそうとしているのです。
私たちの閉ざされた思考を拓くためには強烈なインパクトが必要、何しろ生半可な書名では全く目が覚めませんから。
一方で、脳科学という理系ど真ん中の内容でありながら、まるで小説を読んでいるかのような平易に書かれた文章。ここにも「より多くの人に読んでほしい、知ってほしい」という中野氏の願いが垣間見えます。
人生百年時代。
しかも、これから何が起きるかわからない予測不可能な時代には「知恵」が必要です。
その「知恵」とは何か。
「嫌い」はアラート
今年、大、大ヒットの『鬼滅の刃』。
初めてテレビで観たのが「〇〇山編」、ぎょっとしました。〇〇は文字であっても見るのが「嫌いっ!!」、耐え切れず脱落しました。
そういえば、『ハリーポッター』でも得体の知れない凶暴さな姿で登場、いつも目をつぶっていました。
誰にでも苦手なタイプの人がいたり、嫌悪感を抱く事柄があったりと、「嫌い」な感情に悩まされているのではないでしょうか。
「嫌い」はネガティブな感情、または、なくしてしまいたいと思う感情ですね。
けれども、脳科学の視点を知ると、理解は一変します。
この「嫌い」という感情には2種類あるそうです。P119
以下の解説を読みますと、それぞれ全く別のしくみで反応していることがわかります。
1.眼窩前頭皮質の「嫌い」
眼窩前頭皮質とは脳の起源として最も新しい部位で創造性を培う脳の中枢。「人を人たらしめている脳」と言われる。理性的な判断を担う。自分にとって好ましくない、苦手は我慢できる。P33~P34
2.扁桃体の「嫌い」
脳の左右にある脳機能部位で、快不快の中枢。偏桃体の反応は迅速で、何かを見たり聞いたりしたとき、それが生存に関わる重大なものであるかを一瞬のうちに評価。「古い脳」、本能的な反応を担う。生理的に受け付けないもの。P34~P35
1は新しい脳、2は古い脳、全く性質も機能も異なるもの。
私の〇〇嫌いは2の扁桃体の反応かと思われます。生理的に好きになれないのは怖い思い出が記憶されているそう。
脳の起源から自分の言動を意味づけできると少しは冷静に対処し、少なくとも「嫌い」の感情を嫌がる必要はなくなります。
「嫌い」は克服しなくてもいい。P49
ほっとしますね。「嫌い」という感情は自分の命を守るためのアラート。
アラートの音が小さくとも短くともしっかりと聞き取り、向き合っていければよいのです。
「嫌いっ!」の運用
では、このなくならない「嫌いっ!」の感情にどう対処すればよいのでしょうか。
それは、「嫌いっ!」を運用すること。
人に対しては人格を責めず、自分が認めているその人のよさをセットで上手に伝えていくこと。
「嫌い」な人に振り回されていた自分と決別したいものです。
そのために必要なことがこれ。
「嫌い」な相手は自分の言動を見直すために役立つ人ととらえ直す!自分の欠点を受け入れる練習だという視点!
これからの人生に生かしていきたい考え方です。
「嫌い」に対する考え方を転換させ、臆せずに勇気をもって、ときにはユーモアも加えて相手に伝える行動が具体的に紹介されています。とても参考になります。
アドバイスの実践を!
新型コロナ感染拡大に揺れた2020年。
コロナ由来のマイナスの感情を握りしめ、抱き続ける人の何と多かったことか。この一年、世界中には「嫌いっ!」の感情が渦巻いていました。
今冬を乗り越え、2021年度を健康で迎えるためには、行動の変容、最低限の衛生習慣の実践に加え、「嫌い」に対処できる知恵が欠かせなくなることでしょう。
ご自身の「嫌い」に近い事例を見つけ、中野氏の提唱するアドバイスを参考に実践してみてください。
「嫌いっ!」を味方にする「知恵」がつまった一冊📘
お薦めです。
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