2019.04.12アンガーマネジメント
教員養成大学でアンガーマネジメントを伝える意味と意義
目次
- ○ 教員養成大学登壇の意味と意義
- ○ 現状を打破する手立て
- ○ 道徳教科書にアンガーマネジメント!
- ○ まとめ
教員養成大学登壇の意味と意義
4月8日。
国立大学法人での登壇5年目を迎え、この日、今年度初の登壇をしました。
非常勤講師として大学3年生48名の学生に出会いました。
半数の学生は講義開始から2ヵ月半ほどで教育実習を行います。
教員養成課程の中での主要な活動、そして、卒業に向けての分岐点となる重要な活動です。
2011年3月の東日本大震災のとき、小学校6年生だった学年。
どんな思いでこの大学を選び、どんな思いで教職課程を学んでいるのでしょうか。
今後の学生の学びに役立てられるよう私の大学入学から現在までの半生、講義のねらいについてガイダンスしました。「アンガーマネジメントとともに折れない心と知見を育む」という講義全体のねらいは私の人生の軌跡と重なります。決して諦めなかったからこそたどり着いた道ですから。
アンガーマネジメントとは1970年代、アメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングのことです。
怒りの感情に振り回されない、暴力や暴言で人を傷つけない、人をリスペクトできる、そんな学生を育てるために努力していきたいと心から思いました。
教師の仕事は未来の社会を育てることに他なりません。
アンガーマネジメントを伝える意味と意義がここにあります。
受講者は学年全体の6分の1に過ぎないものの、小さな灯を灯すことが許されました。そのことに感謝し、一人一人の心を鍛え、知見を高めていくことをめざします。
現状を打破する手立て
さて、教育の現状はというと、芳しいものではありません。
・いじめ認知件数(国公私・中・高・特支) 約41万4千件
・暴力行為発生件数(小・中・高) 約6万3千件
・不登校児童生徒数(小・中) 約14万4千人
参考資料:「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(通知)」2018.12.14 文部科学省
特に、宮城県は不登校の児童生徒数が全国第1位(ワースト1)。
加えて、残念なことに仙台市内、最近は県南でも深刻な事態が次々と起きています。
教壇に立つためには教科の専門性と合わせて、生徒指導上の指導力や保護者への対応力など、多くのスキルが求められます。
こうした現状の打破に有効となるスキル、メソッドが「アンガーマネジメント」。
教員時代の最終盤、アンガーマネジメントの効果について検証してきました。
特別支援学級で5カ月間、通常学級で1年間、子どもたちの変容に資する実践を重ねました。
怒りの感情で困っていた子どもたちが瞳を輝かせて生活するようになりました。
その姿にこのメソッドの可能性を見出し、すばらしさに目を見張りました。
子どもたちに背中を押され、
「日本中の教室にアンガマネジメントを!」
「日本中の子どもたちをアンガーマネジメントで幸せに!」
というメッセージが私の胸に宿りました。
アンガーマネジメントが変える未来を知っています。
アンガーマネジメントは現状を打破する確実な手立てとなります。
ですから、教員をめざす学生に伝えたいのです。
道徳教科書にアンガーマネジメント!
2017年6月、東名高速道路での事故が記憶に残っていることでしょう。
あおり運転を受けたご夫妻が亡くなりました。明日は我が身に起きるのではと震撼としました。
この出来事から一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では「あおり運転撲滅キャンペーンプロジェクト」を展開しました。代表理事の安藤俊介がNHK・民放各局にてあおり運転の現状やその意味、あおり運転撲滅について語りました。こうした活動により、ここ宮城でもアンガーマネジメントの認知が確実には広がってきたことを感じます。
さらに、2018年4月、アンガーマネジメントに関して大きな動きがありました。
中学校道徳教科書は8社が検定を通り、学研みらい『明日への扉』にアンガーマネジメントが取り上げられました。「生命尊重」「いじめ防止」につながるとして、3つのテーマを柱としています。その中の一つにアンガーマネジメントが加わっています。
テーマ①メンタルトレーニング(具体的な実技を通して、心の動きに触れる)
テーマ②アンガーマネジメント(怒りの感情との向き合い方を考える)
テーマ③自己肯定感(自らを認め、他者も認め、互いに尊重しあう心を育む)
現在の学校が抱える諸問題の解決に資する内容が盛り込まれました。
参考資料:文部科学省 教科書>教科書趣意書 中学校 道徳 平成29年度検定中学校 1年道徳のURL H30.4.25
www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/04/25/1404435_001_1.pdf
まとめ
結婚生活で夫の生活習慣との違いに何度激高したことでしょう。「持ち物を捨てない」とか、「洗濯物のシワを伸ばさずに干す」とか、そんなこと一つすら変えられません。しかし、夫は夫で、私のあれこれに呆れていました(このことに気づいたのはごくごく最近のこと)。
職場での仕事であれば、なおさらのことです。仕事の手順やルーティンなど、人それぞれのやり方、服装やちょっとした会話、一つ一つにイラっとしたり、カチンときたり。。
しかし、私たちの怒りの正体は自分の願望・希望・欲求を象徴することば、「べき」。
「誰か」に怒ったり、「出来事」に怒ったりしているのではありません。
今、目の前で生じている出来事について自分の力で変えられる/変えられないか、自分の人生にとって重要/重要でないか、それを自分で線引きすることが大事です。
自分と未来は変えられます。
私たちができることは「変えられる自分と未来」に対して努力することです。
怒りを誰かにぶつけるのではなく、自分のところから次の人へ怒りを連鎖させない、
怒りの連鎖を断ち切ることができる人が増えたら、もっともっと良い社会を築いていくことができます。
これが教員養成大学の学生にアンガーマネジメントを伝えたい大きな理由なのです。
広がれ、angermanagement!
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